睡眠は心と体の疲れを取るための、人間にとって大事なものです。
しかし、人間関係・職場でのストレスや、夜でもテレビなどの誘惑が多くなった社会で睡眠障害になる方が増えています。
不眠になると体や心の疲れが取れません。そして、疲れが取れないまま新しいストレスが積み重なっていく。
溜まった疲れでさらに眠れない・・・。という悪循環に陥る可能性があります。
この記事は、こんな構成になっています。
- 不眠解消に必要な栄養素
- 不眠解消に効果的な食べ物
- 眠れない時に、有効な方法
という流れで紹介してきます。
この記事では、不眠解消の方法をできるだけ実践できるように紹介しています。
こちらの方法を取っていただければ、不眠解消に良い効果が期待できます。
ぜひこの記事を参考にして、不眠を解消していただければと思います^^
この記事の目次
不眠に悩んだらトリプトファンを摂る

不眠改善にはメラトニン
「眠りにはメラトニンが必要なんだよ〜」というお話を聞いたことがあると思います。
その言葉通り、眠るためにはメラトニンが必須です。
メラトニンは脳の松果体という部分から発せられるホルモンの一種です。
メラトニンの量が増えてくると眠気を感じるようになります。
しかし、このメラトニンを出すのは簡単なことではないんです。
メラトニンを出すにはその元となる「トリプトファン」を摂る必要があります。
メラトニンの元「トリプトファン」は体内貯蔵できない

メラトニンの材料はトリプトファンというアミノ酸です。
トリプトファンが体内でメラトニンを発生させます。
実は、このトリプトファンが厄介で、体の中に貯蔵できないんです。
そのため、食べ物などから定期的に取り入れる必要があります。
トリプトファンがメラトニンを発生するには時間がかかる

トリプトファンがメラトニンを発生させるには、時間がかかります。
「寝る前にトリプトファンをたくさん摂ればいい」と思いがちですが、トリプトファンは朝食・昼食に摂ることが大事なんです。
トリプトファンはお昼には「セロトニン」。夜には「メラトニン」に変化します。
昼にセロトニンを発生させる流れがあると、その流れで夜にメラトニンを多く分泌されます。
トリプトファンが入っているのはこの食べ物
トリプトファンが入っているのは、これから紹介していく食べ物です。
先ほども言いましたが、大事なのは「朝食・昼食」からトリプトファンを摂っていくことです。
夕食に摂っても寝つき・不眠改善には繋がりませんので、注意してください。
乳製品

チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品にトリプトファンが入っています。
「寝る前にホット牛乳を飲むといいよ!」というお話を聞いたことがあると思います。
でもこれは少し間違いですね。
何度も言いますが、メラトニン発生には朝食・昼食から摂っていく必要があります。
ホット牛乳を飲むことでメラトニンが発生して眠気が発生する訳ではないことに注意してください。
ちなみに、牛乳よりチーズの方がトリプトファンが入っています。
トリプトファンの量は、牛乳は100gあたり50mg。ナチュラルチーズは100gあたり320mgと、チーズの方が 6倍入っています。
チーズは発酵食品なので腸内環境を整えることもできます。チーズをたくさん食べてください!
卵

卵には100mgあたり180mgのトリプトファンが入っています。
卵には有料なタンパク質やビタミンBが入っているので、お子様にも積極的に摂っていただきたい食材です。
ナッツ類

ごまには100gあたり370mgものトリプトファンが含有されています。
また、カシューナッツには360mg、ピーナッツには280mgもの含有量です。
ナッツ類は、私たちの祖先も積極的に摂ってきた食材として知られており、人間の消化器官に適合した食べ物です。
消化に大きな力を必要としません。
ぜひ積極的に摂っていきたい食材です。
豆類

特に乾燥大豆には多くのトリプトファンが含まれており、100gあたり500mgものトリプトファンが含まれています。
このトリプトファンの含有量は各食材の中での最高の数値です。
豆類には有料のタンパク質も含まれており、体の構成にも役立ちます。
積極的に摂っていきたい食材です。
魚介類

しらすには100mgあたり440mgものトリプトファンが入っています。
他にも、カツオやマグロにもトリプトファンが入っています。
魚介類にはDHAやEPAというオメガ3脂肪酸がたくさん含まれています。
オメガ3脂肪酸は脳の構成に役立つ栄養素ですので、特にお子様には積極的に摂っていきたい食材です。
補足:タルトチェリーが有効かも!

タルトチェリーについて、米国・ルイジアナ州立大学のJack N. Losso氏がAmerican journal of therapeutics誌2018年3/4月号にこんな研究結果を載せています。
睡眠ポリグラフ検査において睡眠時間が84分増加し(p=0.0182)、ピッツバーグ睡眠質問票において睡眠効率が上昇していた(p=0.03)。
チェリージュースは、睡眠時間と睡眠効率を高めた。チェリージュース中のプロシアニジンB-2は、IDOを阻害し、トリプトファンの作用を増加させ、炎症を軽減し、不眠症の改善に対し部分的に関与している可能性がある。
引用:Care Net
タルトチェリーのジュースを飲むことで、睡眠時間が伸びたという研究結果も寄せられています。
気をつけていただきたいのは、ただのさくらんぼではなく「タルトチェリー」ということです。
タルトチェリーは日本での栽培はほとんどない「さくらんぼ」の種類で、強い酸味が特徴です。
日本ではタルトチェリーのジュースやサプリメントが売られているので、こちらで摂ってみることをおすすめします。
こんな栄養素も合わせて摂ると不眠改善に効果あり?

トリプトファンからメラトニンを発生させるためには、他の栄養素も必要なんです。
- 炭水化物
- ビタミンB6
の2つです。
先ほど紹介した食材に加えて、ご飯などの炭水化物。
そして、さつまいもに多く含まれるビタミンB6を摂っていくとよりメラトニンの合成が促進されます。
手軽に摂れる食材としては「バナナ」です。
バナナにはメラトニンの合成に必要なトリプトファンと炭水化物、ビタミンB6の全てが入っています。
バナナは不眠の解決のためには、ぜひ身近に置いておきたい食材です!
寝付けない時の3つの方法

この方法をやると、眠気が襲ってきて「スッ」と眠りに落ちてしまう方法を紹介しようと思います^^
指先運動

眠る際には、血液が手足の指先に行き渡り、熱を放出させる必要があります。
指先から熱を放出することで体温が下がり、眠りに落ちます。
手足の指先に血液を行き渡らせるには「指を反らせて指先に血液を行き渡らせる運動」が有効です。
左手の甲を見ながら、右手の指で左手の指先を掴み、顔側へ「グーーーっ」と反らす運動です。
これを両手両足行います。
これだけで眠りに入るのが早くなるだけでなく、眠りが深くなることで疲れが吹っ飛びます(笑)。
やり方は違うのですが、こちらの動画で紹介されている方法でも睡眠に効果があります。ぜひ参考にどうぞ!
アロマ

アロマで狙っているのは「鎮静効果」です。
鎮静効果とは、神経や体を落ち着かせる効果のことです。
自分で好きなものを選ぶと良いと思いますが、最もおすすめなのは「ラベンダー」です。
ラベンダーは、アロマテラピーの中では群を抜いて鎮静効果が高いとされています。
頭に悩み事が浮かんでしまって中々寝付けない・・。アロマはそんな時におすすめです。
玉ねぎスライス

玉ねぎのアリシンにも「鎮静効果」があります。
「夜寝付けない・・・」となっても、メラトニンは発生するまで時間がかかるので、できることはリラックスしかないんです。
眠り慣れていないとろで眠ろうと思っても、中々寝付けないことも多いと思います。
眠りにはリラックスすることがとっても大事なんです。
「玉ねぎスライス」や「アロマ」などの鎮静効果があるものを近くに置いて、リラックスしながら眠りにつきましょう。
不眠改善に効果的な食べ物まとめ

メラトニンを発生させるには時間がかかります。
そのため、朝食・昼食のうちからトリプトファンを摂ることが重要です。
日中にセロトニンを発生する流れがあると、日が落ちてくるとその流れで自然とメラトニンが発生するようになります。
トリプトファンを多く含む食べ物はこんな食材でした。
- 乳製品
- 卵
- 肉類
- ナッツ類
- 豆類
- 魚介類
- タルトチェリー
- バナナ
こちらの食材を朝・昼に積極的に摂っていくことで、夜にメラトニンが発生しやすい環境を整えることができます。
しっかりとトリプトファンを摂ったら、あとはリラックスする環境を整えるだけです。
リラックスして眠りに落ちやすい、おすすめの方法はこちらです。
- 指先運動
- アロマ
- 玉ねぎスライス
この中でも、私が一番重要だと感じているのは「指先運動」です。
指先運動をすることで、あっという間に眠りに落ちます。
それは、血液を指先に行き渡らせることで体の放熱を助け、深い眠りに入りやすいからです。
運動はとても簡単で、手足の甲をみながら、反対の手で顔側に指を反らせるだけです。
アロマ(特にラベンダー)や玉ねぎスライスをすることでリラックス効果を高めることができるので、不眠改善の効果が期待できます。
朝食・昼食でトリプトファンを摂って、夜は寝付きの良い方法で眠る。
この2段階で対応していただければ、きっと不眠改善の兆候が見えてくるはずです。
ぜひ参考にしてください^^
- 「Melatonin potentiates the effects of metformin on glucose metabolism and food intake in high‐fat‐fed rats」Rosana F. Dantas‐Ferreira
- 「Evidence for the efficacy of melatonin in the treatment of primary adult sleep disorders」Fiona Auld
- 「New perspectives on the role of melatonin in human sleep, circadian rhythms and their regulation」Nava Zisapel
- 「アスパラガス擬葉摂取による睡眠改善効果」西村 太輔